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【これだけでOK!】カトリック・プロテスタント・東方正教の違いを【3分で解説】

【これだけでOK!】カトリック・プロテスタント・東方正教の違いを【3分で解説】

 

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キリスト教について何となく知っているけど、カトリックとかプロテスタントとかの違いって何なの?東方正教もあるみたいだし、それらの違いを分かりやすく教えて欲しい!

この記事はそんな悩みにお答えします。

世界の宗教で最も日本人と馴染みのあるキリスト教。そんなキリスト教にもいくつか種類があり、有名なのがこの3つ。

①東方正教

②カトリック

③プロテスタント

同じキリスト教といっても価値観や行動が異なるので、その違いを最低限押さえておく必要があります。

そこで今回は、それらの違いを3分でサクッと解説していきます。この記事に書いてあることだけ押さえれば教養として十分なので、最後まで読んでみてください!

 

そもそもなぜキリスト教は分断したのか

まず初めに、同じキリスト教でもなぜ複数の宗派が生まれたのかを解説します。ターニングポイントはこの2つ。

①ローマ帝国が東西に分離したこと

②ルターの宗教改革

さらに詳しく見ていきます。

 

ローマ帝国が東西に分離したこと

この記事でも解説したのですが、当時のスタンダードであったユダヤ教に代わって、イエスを神とするキリスト教が西暦392年にローマ帝国(今でいうアメリカくらい力のあった帝国)の国教となりました。



しかし、それからすぐにローマ帝国は東西に分裂してしまいます。これによって東西で独自に変化を遂げて、東では東方正教が、西ではカトリックが発展していきました。

 

ルターの宗教改革

東方正教とカトリックに分かれて世界に広がっていったキリスト教は、16世紀に大転換機を迎えます。これが世界史の教科書で有名な、ルターの宗教改革です。

その当時、聖書を解釈するのは教皇と聖職者の仕事で、何も分からない一般市民はその言葉に従うほか選択肢はありませんでした。

そうやって教皇や聖職者が絶対的な権力をもったことで不正や汚職が増えてきた、いわば体制が腐っていたわけです。

でも、知識のない一般人はどうすることもできないし、国で一番力を持つローマ教皇に歯向かったらすぐに処刑されてしまうし・・・。そんな中で出てきたのがルターなのです。

ルターを中心としてローマ教皇の絶対権力に反発する人たちで組織を結成しました。それこそがプロテスタント(抗議する者)なのです。

こういった背景があって、元々ひとつだったはずのキリスト教が東方正教・カトリック・プロテスタントの3つに分断していったのです。

 

東方正教とは

まず最初に、おそらく日本人に一番馴染みのない東方正教について特徴をざっくり解説します。

東方正教はコンスタンティノープル(現在のトルコの首都イスタンブール)に拠点をおいて、東ヨーロッパを中心に広がっていきました。今では世界中に2億人の信者がいると言われています。

東方正教の特徴として、イコンと呼ばれるイエスや聖書における出来事を描いた絵があげられます。

当時は識字率が高くなかったので、絵を用いたビジュアル戦略をとっており、このイコンによって現在のウクライナは東方正教を国に受け入れたとも言われています。

また、教会もビザンチン建築で作られており、カトリックやプロテスタントと大きな違いがあります。

もしヨーロッパ、特に東ヨーロッパに行く機会があれば、そちらもその目で確認してみて欲しいと思います。

 

カトリックとプロテスタントの違い

さて、次にカトリックとプロテスタントの違いを具体的に見ていきます。違いは大きく5つあり、

①罪人への考え方 善業VS信仰

②建築様式 ゴージャスVSシンプル

③神を 感じるVS考える

④結婚観 独身VS結婚

⑤労働観 休みが大事VS勤勉

それではひとつずつ見ていきます。

 

罪人への考え方 善業VS信仰

カトリックでは、どんな罪人も善業(寄付やボランティア)をつめば救われれると考えます。

ローマ帝国が栄えていた時代に、何か悪いことをしたらローマ教皇にお金を寄付することが当たり前となっており、それが由来となっていると言われています。

一方プロテスタントは、どんな罪人でも信仰によって救われるという考え方をベースとしていました。これはルターが神と一対一で向き合って、聖書を読んで自分なりに解釈をして主体的に行動することに重きを置いていたためです。

 

建築様式 ゴージャスVSシンプル

カトリックとプロテスタントでは教会の建築様式も異なります。おそらく日本人がイメージする教会は、ステンドグラスやマリア像があるゴージャスなものだと思います。

それはカトリック特有の建築様式で、総本山であるバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂も豪華絢爛な作りとなっています。

外観

内観

一方プロテスタントの教会は、簡素で装飾のない作りが一般的です。理由としては、聖書でイエスが清貧がより望ましいという考えだったから。

内観

他にも豪華なカトリックと差別化をするため、そもそもお金がなかったからなど考えられます。

 

神を 感じるVS考える

カトリックでは聖職者や教皇だけが神の教えを知って布教できたので、信者は教会で話を聞くしかありませんでした。

なので、神父によるミサは基本的にカトリックだけとなっており、一般人は神を言葉や美術・音楽で感じるしか方法はありませんでした。

一方プロテスタントは、印刷技術や識字率の向上によって自分たちで聖書を読むことができたので、神を主体性を持って考えることができたのです。

 

結婚観 独身VS結婚

結婚観はだいぶ異なります。カトリックの神父は生涯独身で、プロテスタントの牧師は結婚が認められています。

また、離婚に関してもかなり考えが異なり、カトリックでは原則離婚は認められていません。というのも、新約聖書で離婚=かなりネガティブなものという記載があるからです。

フィリピンでは離婚が法律で禁止されていたりと、国の法律の背景には宗教が存在している場合もかなり多いのです。

 

労働観 休みが大事VS勤勉

カトリックでは、労働は辛い義務だと考えます。というのも、カトリックでは旧約聖書の逸話が根強く支持されているからです。

その逸話というのも、約束を破って知恵のみを食べたアダムとイブが楽園を追われ、労働と出産という苦しみを与えられたというものです。

自分もヨーロッパに行って思ったのですが、イタリア人やスペイン人は仕事に対する熱意が弱く、できれば早く仕事を終えて遊びたい!と考える人が多いです。

一方でプロテスタントは労働を神から与えられるものという認識があるので、勤勉な人が多いと言われています。

 

プロテスタントの国が発展した理由

カトリックとプロテスタントの違いを解説しましたが、21世紀現在、経済的にうまくいっている国々はプロテスタント系である国が多いです。

アメリカやイギリスをはじめ、ドイツやオランダ、北欧は基本的にプロテスタント国家です。逆に経済危機に陥ったギリシャは東方正教ですし、財政問題が尽きないスペインやイタリアはカトリックです。

経済発展に差が出る理由は一体なんなのでしょうか?考えられるのは以下の3つです。

①識字率

②個人の自立

③仕事=神の教え

それではより詳細に見ていきます。

 

識字率

ルターの宗教改革の頃に印刷技術が発展し、自国の言葉で翻訳された聖書が印刷物として大量に出回りました。

そうやって識字率が上がったプロテスタントの人々はさらに色々な本を読んで、知的レベルが格段に上がる。その結果、うまく産業革命の波に乗ることができたわけです。

例えば機械を管理するマニュアルを文字を書いて共有するだけでもかなり生産性は高まりますよね。そうやって識字率が高まって国の基盤がしっかりとしたことが、今の経済発展に繋がっていると考えられます。

 

個人の自立

ルターは教会主体ではなく、個人主体で神・聖書に向かい合うよう説きました。要は誰かの指示待ちではなく、自分の頭で考えて行動することに重きを置いたのです。

その考え方が思考の根底にあるので、資本主義社会で結果を出すことに繋がっていると考えられます。

主体的に考えられないと今後はAIに取って代わられちゃいますからね。この差はさらに広がると予想されます。

 

仕事=神の教え

プロテスタントには、職業は神が与えたものであり自分の仕事に専念することが大切だという教えがあります。

さらに、そうやって一生懸命働いて得たお金は罪ではなく(キリスト教は基本蓄財=罪の考えがある)、むしろ新たな事業に投資するべきという教えもあります。

かなり資本主義と相性のいい考え方となっているのです。

そしてカトリックは先ほども解説したように、労働=辛いものという考え方があります。こういった理由から資本主義経済ではプロテスタント国家が結果を残す傾向にあるのです。

 

まとめ

いかがでしたか?

キリスト教が分断するきっかけとなったポイントは2つあり、

①ローマ帝国が東西に分離したこと

②ルターの宗教改革

東方正教・カトリック・プロテスタントでかなり特徴が異なりますし、それによって国の経済状況も変わってきます。

勤勉、怠惰の裏には宗教が潜んでいるので、そういった視点で今後もニュースを見ると意外な気づきがあって面白いですよ。

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キリスト教だけじゃなく、イスラム教とかヒンズー教とか一気に解説してほしい!

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また、そんな人向けに全てを網羅した記事を書きました。参考にしてみてください。