この記事はそんな悩みにお答えします。
最近テレビやニュースで話題になるイスラム教。断食をしたり礼拝をするイメージはありますが、それ以上のことはいまいち知らない人も多いはず。
そこで今回は、イスラム教の歴史や特徴などを3分で解説していきます。
本当にイスラム教は危ないのか?も含めて、最低限の知識を身につけて恥ずかしい思いをしないようにしましょう!
そもそもなぜ宗教を知る必要があるのか
具体的な話の前に、そもそもなぜ世界の宗教についての知識を深める必要があるのか説明します。理由はズバリ、宗教がグローバルで活躍する教養の土台だからです。
国によって歴史や文化、価値観が異なりますが、その根本にあるのが宗教であり、時には政治にも大きな影響を与えます。
例えば、アメリカ大統領選では支持を得たい有権者の宗教によって政策は変わってきますし、それによって世界経済も動いていきます。
また、全知全能の神が人を作ったという知識を当たり前と感じるキリスト教信者は、鉄腕アトムやペッパーのような人型ロボットに嫌悪感を示す人もいます。そう言われてみれば、アメリカの映画でロボットが出てきてもサイボーグ感であふれていますよね。
アメリカのロボット
それくらいナイーブな宗教の知識を知らないと将来海外で恥ずかしい目に遭ってしまうので、最低限の知識を身につけておきましょう。
ヨーロッパに旅行した時も、神道や仏教について聞かれる場面が多いです。そんな時に知らないだと会話が進まずもったいないです。
イスラム教の概要
ここではまず、イスラム教について以下の3つの観点で解説していきます。
①イスラム教の歴史
②イスラム教の聖典
③イスラム教の聖地
それではひとつずつ見ていきましょう。
イスラム教の歴史
イスラム教が生まれたのは7世紀頃と言われており、ユダヤ教(紀元前13世紀)やキリスト教(1世紀)と比べると比較的新しい宗教となっています。
ちなみに7世紀頃はすでに様々な国家があり、法律や商業、文字もある時代なので、イスラム教誕生に関係する登場人物に神話的な要素は少ないです。
モーセ(ユダヤ教)は海を割ったりイエス(キリスト教)は復活したりしてたので、それと比べるとかなり現実的です。
さて、時は7世紀。当時やり手の実業家であったムハンマドさんは、山にこもって瞑想をする習慣がありました。
彼がいつものように瞑想をしている時、いきなり天使ガブリエルがやってきて神様の言葉を授けたのです。疑っていたムハンマドですが、奥さんの「それは神様のお告げに違いない」という言葉に後押しされ、周りに教えを伝え始めます。
これがイスラム教の始まりです。
ムハンマドが亡くなった後も、大切な教えを暗記した弟子たちが口伝えで広めていき、それを一冊の本にしたのが後述する聖典「コーラン」です。
イスラム教の聖典
イスラム教の聖典はコーラン(クルアーン)です。これはムハンマドが神から授けられたお告げを書物にしたものです。イスラム教は唯一神を信仰し、その名をアッラーと呼びます。
これはユダヤ教のエホバ・ヤハウェやキリスト教のゴッドと同じ対象を表すので、元をたどれば全て同じ神様で呼び方が異なるだけです。
そんな背景もあって、イスラム教は同じ一神教であるユダヤ教とキリスト教に対して寛容で、その信者を啓典の民として尊重しています。
そのためコーランにも、モーセ(ユダヤ教の預言者)やイエス(キリスト教の預言者)は偉大であるという記述が何度も出てきています。
イスラム教の聖地
イスラム教の聖地といえば、サウジアラビアのメッカにあるカーバ神殿です。イスラム教徒は毎日カーバ神殿の方を向いてお祈りをしますし、可能であれば一生のうちに一回この土地を訪れることが義務とされています。
年に一度多くの人がカーバ神殿を訪れるシーズンがあるのですが、その時はこれだけの人で埋め尽くされます。
イスラム教徒の人はよくこんな言葉を使います。イスラム教は弱者を救うことに重きを置いていて、困っている人がいたら手を差し伸べる、そんな優しい宗教です。
そうやって心の拠り所があるので、イスラム教徒の自殺率は統計的に少なくなっています。
イスラム教の特徴
では次に、イスラム教の特徴を3つ紹介します。
①信者数の伸びが圧倒的
②宗派の違いで衝突が多い
③服装が特徴的
それではひとつずつ見ていきます。
信者数の伸びが圧倒的
現在、世界の宗教の信者数は
1位キリスト教 22億人
2位イスラム教 16億人
となっているのですが、今後数十年で順位が入れ替わると言われています。というのも、キリスト教は欧米などの先進国で信仰されていますが、イスラム教は人口爆発中のアフリカやアジアで広く信仰されているからです。
今後世界で最もメジャーになる宗教であり、技術の発達により日本でイスラム教の方と出会う可能性も高まるので、やはり最低限の知識は知っておく必要がありますね。
宗派の違いで衝突が多い
世界史を履修した人なら聞いたことがあるかもしれませんが、イスラム教ではスンナ派とシーア派の衝突が激しいです。
これらの違いは「後継者の選び方」で、ざっくり解説すると、
スンナ派:協議によって後継者を選ぶべき
シーア派:世襲制度によって後継者をべき
現在ではスンナ派が全世界のイスラム教徒の90%を占めており、残りの10%がシーア派となっています。イランとイラクではシーア派が多数派であることは押さえておきましょう。
それによって、「シーア派の総本山イラン」と「スンニ派の総本山サウジアラビア」の国交問題などが生じています。
服装が特徴的
イスラム教は女性の服装が特徴的です。というのも、女性は美しい部分を家族以外の男性に見せてはいけないという内容が聖典「コーラン」に記載されているからです。
例えば、アバーヤという黒い服で顔以外隠したり、中にはニカーブという目しか露出しない服装をする人もいます。
もちろん、信仰心の違いによって服装も変わってくるので、比較的規制のゆるいトルコでは髪の毛を隠すのが一般的です。
イスラム教で守るべきこと
イスラム教は戒律が厳しいことで知られますが、大事な決まりごとはこの3つ。
①六信五行
②偶像崇拝の禁止
③断食
それではひとつずつ見ていきます。
六信五行
これはイスラム教の基本的な考え方であり、六信=イスラム教徒が信じるもの、五行=イスラム教徒の義務(シーア派では十行)を意味します。
〜六信〜
①神
②天使
③コーラン
④ムハンマド
⑤来世
⑥運命
〜五行〜
①アッラーが唯一神と宣言すること
②毎日5回メッカに向かってお祈りをすること
③弱者にお金を寄付すること
④断食をすること
⑤カーバ神殿を訪問すること
他の宗教と比べて戒律が厳しいイスラム教ですが、それを続けるくらいの深い信仰心が信者にはあるのです。
偶像崇拝の禁止
イスラム教では偶像崇拝(神の絵や像を作ってそれを崇めること)を禁止しています。キリスト教ではイエスの絵画や像を作って教会内に飾っていたりしますが、イスラム教では完全にタブーです。
そんな中、フランスのシャルリーエブドという会社がムハンマドの風刺画を描いて、過激派のイスラム教徒が襲撃する事件がおきました。
ムハンマドの風刺画
こういった事件やイスラム国(IS)によって、イスラム教=危険な宗教と思われることが増えたのですが、実際は異なります。
そもそもコーランには「イスラム共同体に異教徒が攻めてきたら、平和を維持するために迎え撃ちなさい。ただし、絶対に自分から仕掛けてはならない」という趣旨の記述があります。
つまり、罪のない市民に対して自爆テロを行ったり、新聞社を襲撃するのはあまりに拡大解釈が過ぎます。イスラム教の根本は弱者を救う優しい宗教なので、そこは勘違いしないようにしましょう。
断食(ラマダン)
イスラム教は一年のうち決まった季節の約30日間、日が昇って降りるまで水も食べ物も一切口にしません。
ラマダンをして貧しい人を思いやり、連帯感を強めるためだと言われています。なので、ラマダン=ご飯もろくに食べられない辛い修行の期間と捉えるのはNGです。
もちろん肉体的にも精神的にもハードですが、ラマダンが空けた時は3日間連続でイードと呼ばれるパーティーをします。そうやって家族やその他のイスラム教徒が集まって連帯感を強める場なのです。
神田外国語大学のイードの様子
また、食に関していえば、イスラム教とは豚肉やアルコールを摂ることが禁止されています。厳格なムスリムは、過去に豚を調理した器具で作られた料理も食しません。
なので、そんな方でも安心して食べられるものをハラルフードと名付け、最近日本のレストランなどでも提供が増えてきています。
まとめ
いかがでしたか?
もっと詳しく知りたい人は、この本がオススメ。世界5大宗教をサクッと理解できる名書です。
また、そんな人向けに全てを網羅した記事を書きました。参考にしてみてください。