この記事はそんな悩みにお答えします。
特に日本人に馴染みのある仏教。お寺にお参りに行ったりお墓まいりに行ったり、人が亡くなった時にお葬式を行ったり。
日常生活でよくある光景ですが、仏教について歴史や宗派など意外と知らないことも多いはず。
そこで今回は、仏教の基本を小学生でも分かるように3分で解説します。
海外に行った時に外国の人に日本の宗教のことをよく聞かれるので、最低限の知識を身につけておきましょう!
そもそもなぜ宗教を知る必要があるのか
具体的な話の前に、そもそもなぜ世界の宗教についての知識を深める必要があるのか説明します。理由はズバリ、宗教がグローバルで活躍する教養の土台だからです。
国によって歴史や文化、価値観が異なりますが、その根本にあるのが宗教であり、時には政治にも大きな影響を与えます。
例えば、アメリカ大統領選では支持を得たい有権者の宗教によって政策は変わってきますし、それによって世界経済も動いていきます。
また、全知全能の神が人を作ったという知識を当たり前と感じるキリスト教信者は、鉄腕アトムやペッパーのような人型ロボットに嫌悪感を示す人もいます。そう言われてみれば、アメリカの映画でロボットが出てきてもサイボーグ感であふれていますよね。
アメリカのロボット
それくらいナイーブな宗教の知識を知らないと将来海外で恥ずかしい目に遭ってしまうので、最低限の知識を身につけておきましょう。
ヨーロッパに旅行した時も、神道や仏教について聞かれる場面が多いです。そんな時に知らないだと会話が進まずもったいないです。
仏教の概要
ここでは仏教の概要について3つの観点から見ていきます。
①仏教の歴史
②仏教の聖典
③仏教の聖地
それではひとつずつ見ていきましょう!
仏教の歴史
この記事でも解説しましたが、仏教はもともとヒンズー教から派生したものです。
今から約2500年前、インド北部にゴータマ・シッダールタ(お釈迦様)という釈迦族の王子様がいました。
お釈迦様
彼は王族なので何不自由ない生活をしていたのですが、ある時、宮殿の外に出て老人や病人、死人を目にします。宮殿で優雅に暮らしていたので、一般人の苦しみがあまりに衝撃的で、29歳の時に生活を捨てて修行することにします。
とにかくいろいろな修行(断食や息を止める)をするのですが、ただ辛いだけで何も得られず。そこからは瞑想をするようになり、ブッダガヤの菩薩樹の下で49日間瞑想を続け、悟りを開いたのです。
その後、様々な地域で布教を行い、アジアを中心として信者が増えていって今の形に至ります。
仏教の聖典
仏教には聖典、いわばお経がたくさんあります。
日本における仏教の宗派(真言宗や浄土宗など)をある程度知っておくとここらへんの理解が進むので、まだ知識がイマイチな人は一度この記事を読んでみてください。サクッと理解できますよ。
①法華経(ほけきょう)・・・南妙法蓮華経(なんみょーほうれんげきょう)と唱える。日蓮宗や天台宗で主に使われている。
②般若心経(はんにゃしんきょう)・・・一休さんで有名な禅宗や天台宗・真言宗、臨済宗などで広く読まれている。
③浄土三部経・・・こちらは浄土宗や浄土真宗で広く読まれているお経。修行をするよりも祈りを続ければ天国へ行けるというもので、キリスト教などの一神教と近しい。
④パーリ仏典・・・こちらは後述する上座部仏教で主に使われている。ブッタの言葉をまとめたスッタニパータなどがある。
最近話題の写経は、②般若心経を書き写すことが始まりと言われています。
般若心経から生まれた写経
仏教の聖地
仏教も他の宗教と同様に聖地と呼ばれる場所があります。
他の宗教は大抵1カ所なのですが、仏教では以下の8カ所が聖地と言われています。
①ルンビニ(生まれた地)
②ブッダガヤ(悟りの地)
③サールナート(初説教の地)
④ラージギール(布教の地)
⑤サヘート・マヘート(教団本部の地)
⑥ヴァイシャリ(最後の旅の地)
⑦クシーナガラ(亡くなった地)
⑧サンカーシャ(昇天の地)
中でも有名なのが②ブッダガヤ。町の中心にあるマハーボディ寺院のすぐ裏に菩提樹と呼ばれる大きな一本の木があり、ここでお釈迦様は49日間瞑想をして悟りを開いたとされています。
今では観光地となっているのですが、興味のある人は世界史が動いた地を一度訪れてみてはいかがでしょうか?
仏教の死生観
仏教には解脱という最大の目標があります。
それを知るためにも、輪廻転成・煩悩・六道という概念を理解する必要があるので、そちらをサクッと解説します。
輪廻転成・解脱という考え方
これらの用語はヒンズー教とほぼ共通しています。人は生まれ変わりをする(輪廻転成)もので、それを繰り返すと最終的に悩みや苦しみがある人間世界を離れて解脱できるという考え方です。
ヒンズー教では解脱した後に宇宙と一体化することが目的であり、仏教では解脱(悟りを開く)して涅槃に至ることがゴールとなります。
六道という考え方
人が生まれ変わる(輪廻転成)時に、次の命(道)は全部で6パターンあると言われ、これを六道と呼びます。
①天道(楽しみメインの世界)
②人道(苦しみも楽しみもある世界)
③修羅道(競争の激しい世界)
④畜生道(虫や鳥、動物の世界)
⑤餓鬼道(飢えと乾きの世界)
⑥地獄(最も苦しみの激しい世界)
ちなみに地獄は、この世の炎を地獄に持っていくと雪のようになると言われるくらいの熱さらしいです。
こうやって6つの苦しみや迷いの世界を何度も生まれ変わって生きている、それが仏教の基本的な考え方です。
煩悩という考え方
ではどうすれば輪廻転成から解脱して悟りを開けるのでしょうか?
それが煩悩(悪い欲)を捨てることです。108個ある煩悩によって人生が苦しいものになると言われているので、瞑想をすることで煩悩を抑制して輪廻転成から解脱しようというのです。
仏教の重要概念「四法印」とは
仏教には重要なコンセプト「四法印」というものがあります。それは以下の4つであり、
①諸行無常(物事は全て常に変化している)
②諸法無我(物事全て関係性の中で成り立っている)
③一切皆苦(世の中全てのことは苦しい)
④涅槃寂静(煩悩がない悟りの境地である涅槃は静かな安らぎがある)
①の諸行無常は平家物語でも出てくるので聞いたことがあるかもしれません。
また、生きるとは苦しいもので、人は皆病気になっていずれ死ぬ。どれだけお金があってもそれが永遠に続かないのならば、それは苦しみだという考え方があります。
少しネガティブにも聞こえますが、だからこそ刹那的な人間関係を大事にしよう、そう捉えることができます。
仏教の種類
仏教はアジアを中心に広がっていくのですが、大きく2つの宗派に分かれます。
①上座部仏教(タイヤカンボジア)
②大乗仏教(中国や日本)
ここではその違いを分かりやすく解説していきます。
上座部仏教
上座部仏教はスリランカ、タイ、ラオス、カンボジア、ミャンマーなどに信者が多い仏教です。
基本的に、修行を積んだ僧侶だけが輪廻転成から解脱できるという死生観を持っています。信仰対象はブッダのみで、その他の如来や菩薩(後述します)は信仰しません。
大乗仏教
それに対して大乗仏教は、修行した人だけでなく一般庶民であっても念仏を唱えたり坐禅を組めば悟りを開くことができると説いています。
また、信仰対象に如来や菩薩(後述します)も含まれているのが特徴的です。そういった取り組みやすい形となり、中国や日本、朝鮮半島などで広く普及していきました。
仏教の信仰対象
先程出てきた如来や菩薩について解説します。
それらは仏教における信仰対象で違いがあるので、ポイントを押さえておきましょう。ここでは以下の4つを紹介します。
①ブッダ(仏様)
②如来(悟った人)
③菩薩(救済者)
④明王
ブッダ(仏様)
漫画でも有名なブッダは、悟りを開いた人のことを意味しますが、ほとんどの場合仏教を開いたお釈迦様のことを意味します。
初めは神様的な立ち位置ではなかったのですが、時とともに崇拝するべき対象となったと言われています。
如来(悟った人)
阿弥陀如来
如来は悟った人を意味します。有名なところでいうと阿弥陀如来(浄土宗・浄土真宗)や大日如来(真言密教)があげられます。
お釈迦様も悟ったので、釈迦如来と呼ばれることもあります。
菩薩(救済者)
悟った人は涅槃(輪廻転成から解脱した行き先)にいるのですが、菩薩は悟った後もこの世に残っている人を意味します。この世に残って様々な人を救済するためです。
ちなみに田舎で見かけるお地蔵様も、地蔵菩薩と言われている菩薩の一種です。
天部(天道の神様)
基本的に“天”と名前がつくものは、インドの神話やヒンズー教の神が仏教に取り入れられたものと考えられています。
例えば七福神の大黒天や毘沙門天、弁財天などです。金剛力士も天部の一人です。こんな風に多神教であるヒンズー教から派生した仏教も、たくさんの信仰対象がいるのです。
まとめ
いかがでしたか?
元々ヒンズー教から派生した仏教ですが、現代では上座部仏教と大乗仏教の2つの派閥が存在します。また、基本的に仏教は輪廻転成から解脱をして悟りを開くことを目的としています。
日本ではその仏教がさらに細分化されているので、興味がある人はこの記事を読んでみてください。タメになったと感想をもらうことの多い記事です。
もっと詳しく知りたい人は、この本がオススメ。世界5大宗教をサクッと理解できる名書です。
また、そんな人向けに全てを網羅した記事を書きました。参考にしてみてください。