大学生の皆さんは、税金についてどの程度知識がありますか?税金自体の概念は理解していても、よく知らない税金も多いのではないでしょうか。
消費税については知っていると思います。2022年現在は買い物をした際などに10%の消費税がかかっていますよね。
そして、消費税の他に、所得税・住民税についても知っておく必要があります。アルバイトをしている大学生・これからする大学生にとっては大切な税金です。
アルバイトをしない大学生においても、今後就職して社会人になった際には必ず必要になる知識です。正社員でなくフリーターであっても同様です。
でも大学の授業で扱うわけではなく、高校の段階まででしっかりと学ぶ内容でもありません。世の中の常識なのに、自分で調べて理解するしかないのが税金です。
この記事では大学生が知るべき税金についてまるっとご説明します!
所得税とは
所得税は、その名の通り「所得」するとかかるお金です。所得=収入ですね。(厳密には経費を除いた収入のことを所得といいます)つまりお金を稼ぐと払わなければならない税金が所得税です。
では、いくら払わなければならないの?それは、稼いだ額などによって人それぞれです。稼いだ額に税率をかけた金額を支払うのですが、この税率は稼いだ額で変わるのです。所得税は累進課税なんですね。累進課税は中学生で習ったと思います、額に応じて税金の金額が変わる仕組みです。
所得税の税率は、所得が年間195万円以下であれば税率5%です。195万円以上になると率も変わってきますから注意しましょう。
でも、所得税は年間で103万円以上稼いだ時から発生します。逆に言うと103万以下なら大丈夫なんですね。これはパートで働く主婦の方も「103万の壁」などと呼んで気にしており、103万を超えずに節税しようとする人も多いです。
年間150万円稼いでいたとしたら、150万円-103万円=47万円 47万円×税率(5%)=2万3500円となります。
大学生の所得税
ここでややこしいのが、大学生は勤労学生控除という制度が使えるのです。申請すれば、年間130万円まで所得税がかからずに済みます。
「税金がかかるのって103万からだっけ?130万だっけ?」とわからなくなってしまいますよね。学生は130万円、普通は103万です。
親の所得税
そしてさらにややこしいことに、大学生の皆さんは親の扶養に入っている人が多いです。税金は個人個人で様々なものが課されていますから、親にも親の所得税があるんですね。
そして親が払っている税金の諸々は、養っている人間がどのくらいいるかどうかで変わってくる部分があります。
103万円を超えると所得税がかかるルールの通り、103万円を超えて稼ぐと所得があるとみなされ、「親が養っている=扶養に入っている状態」ではなくなってしまいます。これを「扶養から外れる」などと言います。
扶養から外れることによって親の払う所得税が高くなってしまうのが難点です。
勤労学生控除を使って自分の所得税は130万円から発生しますが、親の扶養から外れるのは変わらず103万円からという点に注意しましょう。
103万を超えると損をする?
前述したとおり、103万円を超えて親の扶養から外れると親の所得税が高くなります。
どのくらい高くなるかと言うと、様々な場合がありますが相場は12万~13万円くらいと思っておきましょう。
親の所得税がどのくらい高くなってしまうかという計算をしてみましょう。所得税は稼いだ額に応じて決まりますから、稼いだ額が少なければその分所得税も少なく済みます。扶養している人間がいる場合、この稼いだ額から63万円を引いてくれます(扶養している19歳~22歳の大学生、1人あたり63万円です)。
親の所得額によりますが、例えば所得税が10%かかる額を稼いだとします。そして住民税が10%かかっているとします(住民税については後述します)。ストレートに計算すると、12万6千円が税金として多く支払わなければならなくなってしまいます。
そのほか、扶養から外れることにより会社の家族手当がなくなるなどの不利益もあるようなので、103万を超える場合は親に相談するとよいでしょう。
103万円を超えて稼いで、110万円でした!という場合は、プラスで稼いだ7万円の分は親の税金でマイナスになってしまうんですね。
130万を超えると損をする?
103万円は超えてしまって親の扶養から外れている場合、もしくはこれから外れてもいいよという場合、次に気になるのは勤労学生控除の上限金額である130万円の壁についてですよね。
「130万円をちょっとだけ超えそうなんだけど、そしたら所得税分を損してしまうのかな?」と疑問に思った方。いくらから損になるのか考えてみましょう。
130万円からはみ出した分に5%をかけた金額を支払わなければならないので、例えば1万円オーバーしてしまい年間で131万円稼いだ場合、1万円の5%ですから500円支払う義務が発生します。
500円!思ったより低いですよね。扶養から外れる云々で12万という数字が出てきたことを考えると小さい数字です。少しオーバーしてしまって所得税がかかるといっても、かかる所得税がオーバーした所得を上回るということはありません。
1万円超えた場合でも9500円は普通に稼ぐことができますから、5%は持っていかれると割り切ってあまり130万円の壁は気にしない、という人も多いです。
住民税とは
所得税の他にもう1つ、大学生が知っておくべき税金は住民税です。住民税は全住民にかかる税金で、住んでいる自治体によっていくらかかるか異なります。
住んでいる自治体は、現住所ではなく住民票がある住所です。もし親元を離れて一人暮らしをしている人で、親元にまだ住民票を置いている人は注意しましょう。
自治体によるのですが、だいたい稼いだ金額が年間93万円~100万円以下であれば税金はかかりません。
もう少し詳しくご説明しますね。
均等割の住民税
住民税には、均等割と所得割の2種類あります。大前提として、2種類とも住んでいる自治体によります。
そして2種類のどちらもに、市町村民税と道府県民税がかかります。例えば神奈川県横浜市に住んでいる場合は神奈川県という自治体に住民税がかかり、さらに横浜市に対しても住民税がかかるんだね。
さて、まず、全員にかかる均等割という住民税についてご説明します。自治体によりますが、年間で稼いだ金額が93万円~100万円以上であれば、5000円前後が課税されます。
市町村民税が3,500円、道府県民税が1,500円です。これは平成26年度から令和5年までの金額で、過去よりも各500ずつ・合計1000円増税されています。東日本大震災の影響です。令和5年からはまた変更されますので気を付けましょう。
なぜこういうルールになっているかというと、均等割の住民税は、住んでいる市町村区の行政サービスを受けることに対して、そのための費用の一部を住民全体で均等に負担しましょうという税金だからです。
東京都在住の場合
先ほどの均等割ですが、東京都在住の場合は少し名前が変わります。
道府県民税と前述しましたが、都道府県の「都」は入っていませんよね。東京都にかかる税金は道府県民税が「都民税」となり、市町村民税は「特別区民税(東京都23区のみ、23区外は通常通り市町村民税」となります。
名前が変わるだけで、特別区民税は3,500円、都民税は1,500円と金額は変わりません。
「港区は住民税が高いんじゃないの?」「儲かっているエリアは安いのでは?」などと憶測が飛び交うこともありますが、現状、都内のエリアで住民税の金額が変わることはありません。
所得割の住民税
所得割は、所得金額に応じて金額が変わります。累進課税というルールですね。
市町村民税が6%、道府県民税が4%、合計10%が一律です。ですが指定都市に在住の場合は市民税が8%、道府県民税2%になります。こちらも合計は10%で同じですね。
東京都民の場合も、特別区民税が6%、都民税が4%で合計10%です。
税率は一律ですが、当然所得額が増えれば税額も増えます。そのため、一人あたりの所得が多いエリアは住民税が多く徴収できているというわけです。
「港区は税金が高いんじゃないの?」という疑問はここで解消されますね。均等割の金額も所得割の税率も同じですが、累進課税のため所得が多いと多く財源が入るというわけです。
未成年かつ未婚の場合
住民税がかかる年収のボーダーは100万円とお伝えしましたが、これは20歳以上(もしくは既婚者)の場合です。
未成年かつ未婚であればボーダーラインが年収204万円程度まで引き上げられます。アルバイトをしている大学生で18歳~19歳の場合は住民税がかからない場合も多いということですね。
しかし、令和5年度からは未成年の年齢が変わり、100万円のボーダーラインが18歳以上に変更されますのでご注意ください。
こと大学生のアルバイトに関しては、令和5年度以降は社会人と同じ金額がかかるということですね。高校生時代もアルバイトをしていた人は、ボーダーが上がるので税金がかかる可能性があると考えておきましょう。
大学生の住民税
所得税と同じく、勤労学生控除が住民税でも使えます。
申請すれば、年間124万円まで税金がかからない控除枠が広がります。成人していてボーダーが100万円だったところを、この学生であることの控除によってもう少し猶予が与えられるわけですね。
親の住民税
親の住民税に関しても、所得税と同様に変わります。
年収103万円を超えた時点で親の扶養から外れるので、勤労学生控除で124万円までボーダーが上がっていても、親の住民税は高くなりますので注意しましょう。
住民税の計算方法
では、例として住民税の計算方法を記載します。
アルバイトなどで収入を得ていて、年間125万円の収入がある20歳以上の大学生の場合。課税対象となる金額は100万円ボーダーからあふれた25万円です。
均等割は一律の5000円ですね。所得割は25万円の10%ですから、2万5000円です。合計して3万円が税金として納める金額ということですね。
125万-100万=25万、25万×10%=2万5000、5000+2万5000=3万、というわけです。