この記事ではそんな悩みを解決していきます。
若いうちからお金を貯めておいて、将来働けなくなった時にその分をリターンしてもらえる年金制度。
日本の年金制度は下の図のように3階建ての構造になっています。
1階と2階の部分に関してはこの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
少子高齢化が叫ばれる中、公的年金の支払額は増えて受給額が下がると推測されており、それだけでは老後生活するのが困難となるでしょう。
そんな時に役に立つのが3階部分の私的年金です。
私的年金の全てを5分で読めるようにこの記事に凝縮したので、サクッと読んで老後の豊かな生活を賢く手に入れましょう!
私的年金とは
そもそも日本には年金と呼ばれるものが2種類あり、
①公的年金
②私的年金
公的年金の中には、20歳〜60歳に加入義務のある国民年金や社会保険に加入している会社に勤めるサラリーマンに加入義務のある厚生年金が存在します。
そして、その公的年金に上乗せをして企業や個人が加入することのできる制度が私的年金であり、世間では年金の3階部分と呼ばれています。
こうすることで老後に受給できる年金額を増やせるわけですね。
では次に、私的年金の種類についてみていきます。
私的年金の種類
私的年金には2種類あり、
①企業で加入する私的年金
②個人で加入する私的年金
両者の違いを詳しくみていきます。
企業で加入する私的年金
こちらは一般的に企業年金と呼ばれており、会社によっては存在しない場合もあります。
企業年金には大きく3つ種類があり、
①厚生年金基金
②確定給付企業年金(DB)
③企業型確定拠出年金(企業型DC)
ひとつずつ分かりやすく紹介していきます。
厚生年金基金
厚生年金基金とは、国が支給する厚生年金に上乗せして年金を給付する仕組みです。
どうやって上乗せしているかというと、加入者から受け取った厚生年金保険料をもとに基金が資産運用を行なって、その運用益に応じてプラスアルファで加入者へ給付しています。
国からもらえる厚生年金の他に、毎月1万円ほどを受給できると言われています。
ただし、老後の安定を図るために昭和41年にスタートした制度なのですが、2014年4月以降に新規で厚生年金基金を設立できなくなったので、これから社会人になる人は利用できない制度です。
その代わりとして、これから紹介する2つの企業年金の形を取る会社が増えていくと予想されます。
確定給付企業年金(DB)
これは文字通り、従業員が受け取る給付額があらかじめ確定している企業年金制度のことです。
企業が掛け金を積み立てて、年金を運用・管理・給付までを一貫して行います。
先ほどの厚生年金基金と違うのは、運用を自分の会社でやる点です。
現在約800万人の会社員に利用されている最も普及した企業年金制度であり、仮に自分の会社が倒産をしても企業年金として積み立てられた資産は手元に返ってきます。
それに、万が一会社が運用を失敗してもその分を穴埋めして給付してくれます。
受け取り年数に関しては、終身年金といって生きている限り給付され続けるものや、10年間で分割して給付される有期年金の場合もあります。
企業によって年金額は様々ですが、毎月数万円から10万円を超えるような額を受給できる場合もあります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)
3つ目の企業年金は、企業型確定拠出年金です。
企業が掛け金を毎月積み立てて、加入者が金融商品の中から好きなものを選んで自分で資産運用を行い、その運用成績によって受け取る年金額が変動する制度です。
簡単にいうと、会社が年金用に取っておいたお金を社員に渡して、それを社員の自己責任で資産運用してもらう制度です。
うまくいけば受給額が増えて、失敗すれば受給額が減る、極めてシンプルな制度です。
個人で資金を増やせる可能性があることもあって、2016年当時で加入者は約580万人と確定給付企業年金の加入者に迫っています。
個人で加入する私的年金
企業に属していない個人事業主やフリーランス、主婦などが加入する私的年金は以下の2つです。
①国民年金基金
②一般企業の個人年金保険
③個人型確定拠出年金(iDeCo)
それではひとつずつみていきます。
国民年金基金
国民年金基金は、自営業や個人事業主といった国民年金しか受給できない第1号被保険者の老後の所得保障を図るための制度です。
というのも、自営業や個人事業主は年金でいう一階部分(国民年金)しか担保されていないからです。
毎月一定額を納めれば、将来金利が上乗せされた一定額を受給できるのが大きな特徴です。
しかし、現在のように低金利の状態が長期間続いていると、過去に高金利で運用を約束した方への支払い分が不足することが懸念されます。
それが理由で厚生年金基金の制度が廃止されたので、国民年金基金も不安感が拭いきれません。
一般企業の個人年金保険
国民年金基金に任せるのではなく、ソニー損保や三井住友銀行などの一般企業に運用を任せるパターンです。
個人年金保険料控除で節税できますが、とりわけ大きなリターンは見込めず、また生命保険会社自体が破綻すると損をしてしまいます。
2008年に破綻した大和生命保険は、30歳で契約した個人年金保険の年金額が15%〜80%削減されたそうです。
こうした場合、積み立てた金額よりもリターンが低くなる元本割れが生じてしまいます。
私的年金で最も自由度の高い制度こそ、これから紹介する個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
先ほど説明した企業型確定拠出年金(企業型DC)の個人版と考えると分かりやすいです。
個人が掛け金を毎月積み立てて、金融商品の中から好きなものを選んで自分で資産運用を行い、その運用成績によって受け取る年金額が変動する制度です。
個人の時代と叫ばれた背景だったり、運用利益が非課税だったりして2017年1月から利用者が急増しました。
20歳以上〜60歳未満のほぼ全員が対象となっています。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する際の注意点
若いうちから老後に備えて資産運用ができるiDeCoですが、もちろんデメリットもあります。
それはこの3つ。
①60歳まで引き出しができない
②一度契約すると途中で解約できない
③特別法人税がかかる
それではひとつずつみていきます。
60歳まで引き出しができない
受取開始期間を60歳〜70歳の間で選択する必要があります。
つまり裏を返せば60歳まで積立金の引き出しができないわけです。
会社を早期退職した40代の夫婦がよく分からないままiDeCoを初めて毎月5万円ほど積み立てをし続けた結果、手元のお金がなくなって貯金を切り崩す・・・なんて例もよく聞きます。
始めるなら時期をよく考えて加入しましょう。
一度契約すると途中で解約できない
60歳までお金の引き出しができないことに加え、一度加入すると解約することもできません。
仮に家計が苦しいなどの理由でお金が払えないとなった場合は、口座からの引き落としを一時停止するだけとなり、そういった場合でも毎月維持手数料を支払う必要があります。
なおさら加入を慎重に検討する必要があります。
特別法人税がかかる
本来、資産運用残高に対して特別法人税が1.173%かかりますが、日本の金融商品の利回りが低いため現在は凍結されています。
仮に特別法人税が復活した場合、毎年iDeCoで集めたお金のうち1.173%が減っていくわけです。
つまり、特別法人税と手数料以上に運用益を出さないとトータルで見た時にマイナスとなってしまうわけですね。
まとめ
いかがでしたか?
私的年金には大きく2つ種類があり、
①企業で加入する私的年金
②個人で加入する私的年金
①の企業で加入する場合は以下の3つから選択することができます。
①厚生年金基金
②確定給付企業年金(DB)
③企業型確定拠出年金(企業型DC)
対して②の個人で加入する場合は以下の3つから選択することができ、
①国民年金基金
②一般企業の個人年金保険
③個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人の時代と叫ばれる時代だからこそ、きちんと情報を把握して豊かな老後を迎えられるようにしましょう。
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