大学生の教養

年金は大学生も支払うの?国民年金・厚生年金などの社会保険制度を徹底解説

年金は大学生も支払うの?国民年金・厚生年金などの社会保険制度を徹底解説

社会保険制度について、大学生の皆さんはどの程度知っていますか?

国民年金・厚生年金という言葉自体は聞いたことがある大学生も多いとは思います。でもその額やルールについてきちんと理解していない人もたくさんいますよね。

また、国民年金の支払う額は「年金保険料」と呼ばれるため、「保険料?健康保険料とは違うの?」と混乱してしまう人もいます。

ということで、今回はそんな大学生向けに社会保険制度についてご説明したいと思います。

国民年金とは

「年金って何?」という素朴な疑問がある方もいるでしょう。これは、ざっくり説明すると国民がみんなでお金を出し合って、困っている人を助けましょうという仕組みです。

詳しく言うとこれらの仕組みを社会保険と呼び、社会保険のうちの一つが年金なんですね。

「年金は高齢者になったら貰えるものでしょ?」というイメージがあるかもしれませんが、それは老齢基礎年金と呼ばれるものです。そのほか、遺族基礎年金、障害基礎年金、死亡一時金、寡婦年金といった年金もあります。年老いた時だけでなく、死亡した時や障害を負った時にもお金をもらえるんですね。

国民年金は加入期間10年以上で受け取れる年金です。老齢基礎年金は65歳になったら受け取ることができます。月額65,075円(年間78万900円)が支給されます。

「年老いて仕事をやめても、最低限暮らしていけるだけの金額を国から支払いますよ、そのために若いうちからみんなでお金を出し合いましょうね」という仕組みが国民年金なんですね。

国民年金は誰が払うの?

国民年金は、日本国民で20歳以上60歳未満の人は全員にあります。成人年齢が18歳に改められても、年金の支払い年齢は変わらず20歳のままです。

そのため、大学1年生・2年生の18歳~19歳の方は支払い義務はありません。また、後述しますが、大学生で20歳以上になった2年生・3年生・4年生であっても、国民年金の支払いを後伸ばしにすることができます。

国民年金を支払う人の分類

ここからが少しややこしいのですが、国民年金に加入する国民は、3種類に分けられています。

1つは、自営業者や農業者、学生、無職などで、「第一号被保険者」と呼ばれます。

2つめは、70歳未満の会社員や公務員など。「第二号被保険者」と呼ばれます。

3つめは、専業主婦など。第二号被保険者に生計を維持されている配偶者を差し、「第三号被保険者」と呼ばれます。

第一号被保険者がどんな人かわかりにくいかもしれません。これは第二号被保険者がいわゆる会社勤めの「正社員」、もしくは公務員や教職員などで、それ以外の人は第一号。養われている場合は第三号。という分類になっています。

この分類がなぜ必要かというと、第一号被保険者は一定の保険料を上乗せして年金を受けられる、「国民年金基金」にも加入されます。

第二号被保険者は、国民年金の他に「厚生年金」という年金も納める必要があります。そのため、厚生年金と国民年金を一括で支払うことになっています。厚生年金は所属している企業が給料から天引きして支払うので、個人で手続きは必要ありません。

また、第三号被保険者も、養っている第二号被保険者の方の厚生年金から納められているので、個別に手続きする必要はありません。

つまり、だいたいの会社勤めの人や公務員は年金のことをよく知らなくても勝手に給料から天引きされており、専業主婦の妻がいてもその分また引いてくれており、あまり気にする必要がないんですね。

しかし、会社を辞めたりアルバイトになった場合は国民年金の支払いを自分で行わなければならないので、「こんなに払わなければいけないの!?」と驚いてしまう人も多いんです。

国民年金はいつから支払うの?

国民年金は、まず加入の手続きをしなければなりません。20歳に達した日の属する月から加入します。その月の1か月前ほどに通知が来ますので、住民票のある役所へ行き、手続きを済ませましょう。

国民年金を支払わないとどうなるの?

加入すべきとされている期間の1/3を未納のままにしていると、万が一障害者になったとき、障害年金が支給されません。また、老齢基礎年金も減額されてしまいます。支給されない場合もあります。

若いうちは「別に支払わなくても貯金があるし」と思うかもしれませんが、人生でどんな不測の事態があるかわかりません。今はとてもお金があって、もしくは稼ぐつもりでいたとしても、70歳・80歳となったときに全く生活費がないという可能性もゼロではないのです。

今は人生100年ともいわれていますから、生きれば生きるほど高齢者として働けない期間が長くなってしまいます。その間、年金がなければ苦しい時期もあるかもしれません。しっかり手続きをして、支払っていきましょう。

また、20歳に達してから加入手続きをしていないと、未納期間とみなされますので注意しましょう。

大学生も年金を払うの?

前の章で少しお話しましたが、大学生は20歳を過ぎていても、年金の支払いを先延ばしにすることができます。これが「学生納付特例」という制度です。

本来は第一号被保険者として、年金は支払い義務があります。しかし、申請を行い、承認を受けることで、4月からその年度末までの保険料の納付を猶予してもらうことができます。

要するに、学生は支払い能力が乏しいので社会人になってからしっかり払ってねという制度です。

もう少し詳しくみていきましょう。

学生納付特例制度とは

この制度は、申請した1年間だけ有効です。大学卒業までの年数ずっと支払いを猶予してもらいたい場合は、毎年申請する必要があるので注意しましょう。

対象者は、所得が118万円以下の学生です。

「大学ってどんな大学でもOKなの?」と思うかもしれませんね。OKです。夜間部・定時制・通信制の学生については以前まで申請ができなかったのですが、今は学生納付特例の対象です。

申請は、市役所・区役所の「保険年金課」にて行います。または各振興事業所の「振興課」です。

この際、前年の所得を証明する必要がありますので注意しましょう。バイト先では源泉徴収票というものが渡されるはずですからそれを持っていくといいです。

 

厚生年金とは

第二号被保険者の話で少し出てきました、「厚生年金」というものについてもご説明しておきます。

「厚生年金」とは、国民年金のプラスアルファでもっと年金をもらえるよ!でもその分もっと支払うよ!という年金です。

いやいらないけど…と思う方もいるかもしれませんが、会社員・公務員は必須でこれに加入しなければなりません。

逆に言うと、会社員や公務員以外は最低限の国民年金だけでいいけど、それ以外の人はもっとしっかりした年金に加入してね、とも言い換えられます。

厚生年金保険は、老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金が出ます。老齢厚生年金がやはり一番想像しやすいかもしれませんね、65歳以上になったときにもらえるお金です。

社会人になって給与明細を見て、「え!?こんなに年金で引かれるの!?」と思うかもしれません。その時には、国民年金と厚生年金の2階建てで天引きされていることを思い出しましょう。

厚生年金の場合は手続きは所属している企業が行いますので、特に個人で提出するものはありません。