今回はこんな疑問にお答えします!英語の勉強を始める前に、まず頭の中で何を勉強すべきか把握しておきましょう。
言語習得における4技能についてと、それぞれの学習法をお話していきます。
英語の4技能って何?
言語習得において必要とされる4技能があります。これは「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つです。英語だけでなく第二外国語においても基本的な考え方は同じですから、フランス語やドイツ語、韓国語にも応用できる考え方だと思います。
きっと日本人は「読むのと書くのはできるけど聞くのも話すのも苦手」という方が大半でしょう。これは日本の英語教育の欠点と言われていて、とにかく書くことに特化してしまったがあまり話すことがおろそかになってしまっていたからなんですね。
4つをバランスよく身に着けることが最終的には大切になってくるんですが、最初は弱い「聞く」「話す」を重視して勉強していくようにするとよいと思います。そしてこの4領域の勉強順序も基本的には「聞く」からスタートです。言葉を話せない赤ちゃんが言葉を覚える時にもまずは聞くことからスタートしますよね。それと同じです。でも某英語教材の謳い文句のように、ただ英語を聞き流していくだけでは上達はものすごく先になってしまいます。正しい学習法をご紹介しましょう。
Listening:「聞く」スキルの学習
ただ聞くのではなく、理解しようと頭を働かせながら「聞き取る」という姿勢が大切です。このリスニングにおいては、以下の2つの学習法があります。
スラッシュリーディング
「え?リーディングって読むってことだよね?」とお思いかもしれません。その通りです。これは読むための学習法なのですが、リスニングにも大きな効果が期待できます。英文を読む時にスラッシュを入れ、英文をかたまりに切り分けていく方法です。短い文章から試してみましょう。
どこで区切るかは様々なパターンがあります。
・コロンやカンマなどの前で区切る
・主語と動詞と目的語(と補語)で区切る
・接続詞や関係代名詞の中で区切る
などが考えられます。感覚的には「誰が何をどうした」という部分でひとかたまりとか、「それがいつかって言うと~」「なぜならば~」のような区切りがあったらそこでひとかたまり、といった感じですね。
読む速度が上がることはもちろんなんですが、聞くときもよりこの「区切り」を意識して聞くと各段に意味が理解できるようになるのです。
この学習法のいいところは、電車やカフェなどで音が出せないときだったり英語音声の教材を持っていないときでもサッと行えることですね。英語の本だけでなく英語の文章が書いてある教材であれば例文を全てスラッシュで区切っていく作業ですからとても取り組みやすいです。これを身に着けるだけでもリスニングの意識がだいぶ変わりますよ。
オーバーラッピング
これは、長文の文字を読みながら英語で音を聞くことです。専用の教材が必要になるので、スラッシュリーディングよりはハードルが高いかもしれません。リスニングに特に力を入れて取り組みたい人向けです。耳と目で英語を追いながら理解していきます。
音読する
これはわかりますよね。文章を自分で読み上げていく方法です。「え?聞くじゃなくて読む?それは話す技能の方では?」と思うかもしれませんが、話す練習というよりはやはり聞く方に効果が現れる学習法です。
なぜなら自分の読み上げた声は自分で聞きますよね。読んだ数だけ聞き取ってもいることになります。そして自分が発音した音というのは「聞き取れる音」なのです。逆に言うとRとLの区別やFやTの小さい音などを聞き取れない場合、たいていは自分でも発音ができていません。
ネイティブの発音に近づけて音読できるように練習していくうちに、その文章は聞き取れるようになります。発音したことのある英語を積み上げていくつもりで音読を繰り返しましょう!
シャドーイング
音読の次はシャドーイングと呼ばれる練習です。実は「英会話を上達させたいから英語の勉強をしよう」という人に最もおすすめしたいのがこのシャドーイングと、次のディクテーションという学習なんです。正直この2つをやり続けるだけで相当聞き取れるようになるはずです。
シャドーイングは、英語教材を聞きながら真似してかぶせながら音読していくという方法です。オーバーラッピングと音読を組み合わせて同時に行う手法ですね。
シャドーイングを行うことで英語のリズムが身に付き、他の記事で紹介しますがリンキングやリダクションといった英語の発音のルールも身に付きます。教材は海外ドラマでもお気に入りの洋画でもラジオでも何でもいいので、できるようになるまで発声し続けましょう。
シャドーイングはもうすでにかなり聞き取れる・かなり話せるという人でも毎日トレーニングしているケースが多いです。短い時間で行える効果的な学習法だからですね。
ディクテーション
最後に、ディクテーションです。これは英語教材を聞きながら文字に書き起こすという勉強法です。toやtheなど、聞き取っていなくても文章の理解には影響がなさそうな単語も拾い上げて完璧に書きとらなければいけません。この集中がリスニング力を伸ばしていきます。そして引っかかってしまう文章がでてきたら、何度もシャドーイングして矯正していくのです。このディクテーションは英語学習における最もパーフェクトな方法だと言われています。おそらく英語の勉強が進むにつれて、シャドーイングとディクテーションは何度も行うことになる学習法だと思いますよ。
Speaking:「話す」スキルの学習
さて、リスニングができるようになったら今度は自分で文章を作って会話していく段階になりますね。正直「英会話」というとこの「話す」技能を思い浮かべがちですが、ネイティブと話すのであれば前述した「聞く」技能が身についていないと言葉のキャッチボールにはなりません。「話す」ことは「聞ける」前提であると認識しておきましょう。
英語を話すために必要なのは、もちろん皆さんお分かりの通り、実践的な英会話をすることです。「それができたら苦労しないよ!!!」と思うかもしれませんが、ここが一番行動力が試されるところですね。
英会話の機会を作る
今はオンライン英会話が充実していますからぜひ登録をしましょう。非常に安価でネイティブと話すことができますよ。知らない人と話すのは緊張しますが、シャドーイングとディクテーションを頑張ったあとであればむしろ人との会話の方が楽しく感じるかもしれません。自分の実力以上に話そうとせず、英語学習の息抜きのつもりで簡単な会話を楽しんでみましょう。
もちろん、ネイティブの恋人を作ることができればそれが最良でしょう。英会話を常にしていられますし、往々にして友達よりも入り組んだ話まですることができるので英語を話す練習にはうってつけです。しかし、英語が話せないのに恋人関係になるというのもなかなか機会に恵まれないと思います。次いではネイティブの友達を作ることですね。大学内でそういうサークルがあれば参加したり、国際寮に入ってみたりして英語が話せる友達を作れると良いでしょう。
それもハードルが高い、という方には、ネイティブという縛りをなくして日本人同士で英語で会話する練習をしてみましょう。そういうサークルもたくさんありますし、社会人の朝活なんかでもやっている人は多いですね。日本人の恋人と毎日10分だけ英語で会話してみるとかそういった取り組みも面白いです。
自分だけで話す
英会話の機会を作る方法がどれも難しいとなれば、最終的には自分だけで英語を考えながら話すという方法をとりましょう。
実は、この「話す」スキルについては4技能の中で唯一「2つの領域」に分けられるんです。「話すやりとり」と「話す発表」のことですね。自分ひとりで練習していくことができる「話す発表」もれっきとした「話す」スキルの学習法です。
この4技能5領域という考え方は、2020年4月から小学校の新学習指導要領に組み込まれた考え方です。今大学生以上の人たちには縁がない言葉かもしれませんが、今小学生の子供たちは英語の4技能5領域を意識した学習をもう始めています。ようやく日本の英語教育も変化していますから、授業を受けられなかった私たち世代も独学で追いついていきましょう!
「話すやりとり」の疑似練習もひとりでできなくはありません。最近英語学習系YouTubeeの方が出版された本には、「ひとりごとを言い続けて英語が身に付いた」という実践方法が乗っていました。別の記事でこちらについては詳しくお話しますが、「ひとりごと」で想像できるように、ひとりで二人分の会話をしてみたり空に向かって話しかけたりする方法です。これも自分がいれば練習できる方法ですからぜひ取り入れてみましょう。
Reading:「読む」スキルの学習
話がそれましたが、続いては「読む」スキルについてです。これは大学受験を乗り越えた皆さんなら大体は行ったことがあると思います。ただ、大学受験レベルの学習だけでは、おそらく日本語で小説を読むような楽しさで気軽に洋書を手に取ることはできないのかなと思います。もっと早く、多くの英文を読めるようになると楽しいですよ。調べものをしている時でも英語サイトがでてきてもサラサラ読めたら、知識の幅も広がりますよね。
多読
「読む」スキルをあげるためには、とにかく「読む」ことです。多読ですね。たくさんの本を読んでいく、できればスラッシュリーディングとオーバーラッピングを平行して行いながら読み進めましょう。大切なことは「頭の中で日本語に訳さない」ことです。英語をただ読んで頭に入れていき、意味というか概念を理解しながら読み進めます。日本語に変換しそうになったら次の文章を読み進めてしまい、とにかく日本語を頭から消し去りましょう。いわゆる「英語脳」を作る練習になります。
必ずわからない単語や発音できない単語がでてきますから都度調べます。スマホで意味を調べたら必ず発音も聞くようにし、口に数回出して覚えていきましょう。ここでも日本語をなるべく排除できるように、時間があれば「英英辞典」を引きながら調べられるといいですね。「go」を調べて「行く」と理解するのではなく、今いる場所からどこかの場所に向かって動いているような概念を理解すると良いです。ちなみに英英辞典では「to travel or move to a place that is away from where you are or where you live」という説明が最初に出ます。この感覚をつかんでいきましょう。
Writing:「書く」スキル
長くなりましたが最後の技能です。「書く」は本当に最後の練習といっていいでしょう。なのに中学で学ぶ英語の授業はこの「書く」スキルに特化していたんですよね、そりゃ順序が違うぞーとなるわという話です。言語はことばですから、識字率が低い国でも日常は回っているわけで、「書く」という技能は最後の最後なんですよね。
パラグラフライティング
さて、これを学んでいくにはパラグラフライティングと呼ばれる学習が良いでしょう。英語で論文を書くイメージですね。英語のパラグラフの作り方は配置などにルールがあり、日本語と少し違う部分があります。これを理解しながら書いていく練習です。
ルールはいくつかあります。
・パラグラフ内に複数の話題を入れない
・各パラグラフの先頭に内容を要約した文を置く
・この先頭の文だけであらすじになるようにする
・先頭の文の次に接続語を置く
・接続語の次に補足の文を入れていく
などです。
このルールにそった文章を書くことで英語のパラグラフが完成していきます。
4領域を習得するには1000時間学習
前回の記事でも言ったように、4領域の勉強を数日数時間しただけでは英語が話せるようにはなりません。多くの大学生が「英語勉強しよう!なになに、シャドーイングね!やってみよう!」となってそこで三日やりいつの間にかわすれてしまう…という道を辿っています。三日坊主という言葉がありますが、英語を学習する人にまさに多いでしょう。
とにかく継続することが大切です!今回ご紹介した学習法で言うと、シャドーイングとディクテーションを毎日ひたすらやりましょう!
ただ、あまりに「勉強勉強!」となると続かないという気持ちもわかります。私個人的には継続して勉強していく中で、例えば海外ドラマをただ見たり、英語にまつわる面白動画を見たりする息抜きの時間があってもそれはそれで効果的だと考えています。
今回お話した学習法を頭に入れつつ、たまには息抜きをしつつ、でもその息抜きも英語に関係することと縛りをつけていくと継続して英語学習を進めていけるのかなと思います。
次回は、今回お話した「話す」スキルについて体験談を交えながら深堀りしていきたいと思います!