情報科目が大学入学共通テストに必須となり、話題を呼んでいます。
今高校生の人は、「いつ・どんな問題が出されるのか?」「どう対策していけばいいのか?」と気になるところですよね。でも、日々新しいニュースが出てくるので確定情報がわかりにくいかと思います。
そこで、情報科目の受験について必要な内容を整理し丁寧に解説していきます。
大学入学共通テストでの情報科目概要
前述したように、大学入学共通テストで情報科目が必須となりました。必須となったのは、2022年度の高校1年生が受験生の年からです。入試が実施される年は2024年度です。
年度で表記すると2024年度ですが、西暦では2025年1月なので注意しましょう。元号表記では令和6年度であり令和7年1月のことです。
教科は「情報」。科目は「情報Ⅰ」です。この「情報Ⅰ」をこれまでの受験科目に加え、全部で6教科8科目が大学入学共通テストで課されることになります。これまでは5教科7科目でした。
「情報Ⅰ」と同じく新学習指導要領で追加された「情報Ⅱ」については、必修ではなく選択科目のため大学入学共通テストでは出題されません。
大学入学共通テストにおける「情報Ⅰ」の問題は、他教科と同様、マークシート方式が予定されています。
大学入学共通テストで必修となったということは、国公立大学を受験する人は必ず情報科目を受けなければならないということです。ですが、芸術系など一部の専攻は除外される可能性もあります。
各国公立大学が情報科目をどう配点するかはまだ発表されていません。配点などの詳細は22年度中に公表されます。
大学入試情報というのは原則2年前までに公表しなければならず、またこの情報科目については2年を待たずなるべく早急に公表するよう文部科学省が求めているため、年末までには必ず発表があるはずです。
ここまでの情報科目の受験概要を表でまとめます。
何に出題される? | 大学入学共通テスト |
---|---|
対象者は? | 国公立大学の受験生 |
いつから? | 2024年度令和6年度から(2025年令和7年1月入試) |
科目名は? | 情報Ⅰ |
出題形式は? | マークシート式 |
配点は? | 未発表 |
情報科目の共テ対策
2024年度からはじまるということは、それまで過去問などが一切ないということ。「そんなの受験当日にぶつけ本番ってこと!?無理無理!!」と思う学生も多いのではないでしょうか。
実は、そんなことはありません。過去問がないのは事実ですが、対策はしっかりとできるように現時点で配慮されています。それは以下の2点です。
①『情報関係基礎』の過去問を解く
②『情報Ⅰ』のサンプル問題を見る
③情報科目が個別入試にある大学を探す
それぞれ解説していきます。
共テ対策①情報関係基礎の過去問を解く
『情報関係基礎』の過去問は、情報処理学会情報入試委員会が出している『情報関係基礎アーカイブ』にて見ることができます。Googleドライブに過去問題を入れている形なので、ダウンロードしてそのまま使うか印刷して使いましょう。
『情報関係基礎』は、今回の「情報Ⅰ」の前身となる科目です。1997年よりセンター試験・大学入学共通テストにて出題されているため、20年分以上の過去問題が存在します。『情報関係基礎』の科目は数学Ⅱの枠において選択科目として出題されていました。
②の「情報Ⅰ」のサンプル問題や出題意図・ねらいと照らし合わせても概ね合致しており、大きく方向転換することはないと考えられます。そのため、『情報関係基礎』の過去問を解くことが最も本番の入試に近い演習となるでしょう。
ちなみに、難易度は高く、思考力が求められる問題です。一朝一夕の暗記で対応できる問題でないことがわかるので過去問が必ず目を通しましょう。
共テ対策②情報Ⅰのサンプル問題を見る
『情報Ⅰ』のサンプル問題は、大学入試センターがこちらで公開しています。サンプル問題と答え、ねらい、の3冊子公開されています。
また、2020年のものなので少し古いですが、情報処理学会による問題作成の経緯と試作問題もこちらで公開されています。経緯の部分を読み込むことで出題傾向も掴めるのでぜひ読んでみてください。
これはあくまでサンプルなので、今後改良が加えられ2024年度までに変化していく可能性は十分にあります。ですが、今のサンプルを見てみること、解いてみることは決して無駄にはなりません。新しく情報が追加されたらその分演習ができると思って都度解いてみることをおすすめします。
共テ対策③情報科目が個別入試にある大学を探す
国公立入試の試験で「必修」になることが新しいニュースなのですが、これまで情報系の大学や学部であれば個別の入試で情報科目が出題されていることもあります。これらの過去問を探して解いてみることで更にハイレベルな演習ができるでしょう。
僕が調べた限りでは、高知大学理工学部情報科学科や、慶應義塾大学の総合政策学部と環境情報学部にて出題されています。(情報系の大学である電通大学は出題されていそうだと思いましたがありませんでした。)個別試験は、大学入学共通テストの出題レベルよりも難易度が上がることが予想されます。ですが決して多い数ではないのでチャレンジしてみてください。
情報科目のこれまでの歴史
さて、情報科目が2022年に「急に必修になると発表された!!」と驚いた人もいるかもしれませんね。でも、これまでの情報科目の歴史を振り返ると、実に20年近く前から情報の科目は存在しており、常に重要性が叫ばれていました。入試導入は遅いくらいなんです。
始まりは2003年度。教育指導要領にはじめて「情報」系の科目が登場します。その名も「情報A」「情報B」「情報C」。
そして2013年度に変更があります。ここで「情報の科学」「社会と情報」と名前を変えます。
最後に今回の変更、2022年度に「情報I」「情報II」が誕生しました。
これらの変更は全て高校のみに関わる内容ですが、小学校・中学校も含めるともっといろいろな変更・追加がされています。2020年度から小学校でプログラミングが必修になったりとかね。でもそれの流れと影響は割愛しましょう。
ちなみに、情報A・情報B・情報Cはどれかを必修とする選択必修科目でした。理論上は情報Cを選択してもいいわけだね。でも大体の学校が、勝手に情報Aを必修にしてしまいました。3科目もバラバラに設置すると大変だし教える人も教材も3倍になっちゃうからね。
情報Aは「情報活用の実践力」、情報Bは「情報の科学的な理解」、情報Cは「情報社会に参画する態度」を習得する狙いがありました。でもAを受ける人がほとんどなので、B・Cの狙いはあまり達成されなかったんだね。
そして、情報の科学・社会と情報に変わるんだけど、そこでも同じようなことが起きる。選択必修科目だったから、「社会と情報」の方を今度多くの高校が選ぶ流れになりました。
こんな歴史を受けて、2022年度に変わった情報Ⅰ・Ⅱでは、情報Ⅰをもう固定で必修にしちゃいました。もっと専門的な情報Ⅱは選択科目で、やりたい人だけ選ぶという形に。
情報Ⅰではプログラミングが内容に組み込まれていて、従来の「情報の化学」よりももっと専門的な学習ができるようになっています。
情報Ⅰで学ぶ内容
最後に、情報Ⅰで学ぶ内容についてみていきましょう。
①情報社会の問題解決
「問題の発見・解決」、「法規・制度、情報セキュリティ、情報モラル」「情報技術が果たす役割と影響」
情報Ⅰの導入として位置づけられる単元です。後の3単元と結び付けられるようにするとともに、情報と情報技術を用いて、情報社会の問題を主体的に発見し、明確化し、解決策を考えられるようにします。
コミュニケーションと情報デザイン
「メディアとコミュニケーション手段の科学的理解」、「情報デザインの役割の理解」、「効率的なコミュニケーションを行うための情報デザイン」
情報のデジタル化や、コミュニケーションとメディアの関係を理解し、情報の構造と関係性を適切に表現したデザインについて作成、評価、改善を繰り返すことで、情報伝達やコミュニケーションにおける問題を解決できるようにします。
コンピュータとプログラミング
「コンピュータの仕組み」、「アルゴリズムとプログラミング」、「モデル化とシミュレーション」
自然現象や社会現象の問題点を発見し、コンピュータやプログラミングを活用して解決策を考えられるようにします。
情報通信ネットワークとデータの活用
「情報通信ネットワークの仕組み」、「情報システム」、「データの収集、整理、分析、表現」
情報通信ネットワークの管理、運用ができ、データベースやWeb上のテキストデータ、オープンデータ等を可視化、分析する力を育成します。
これらは学校で配られる教科書を見ればわかると思いますが、文部科学省が教員用に教材を公開しているのでこちらも参考になるかと思います。
新しく追加された「情報Ⅰ」の科目について、じっくり調べて丁寧に対策をしていきましょう!