数あるアルコールの中でも人気なのがビール。
週末の仕事終わりの一杯ほど楽しみなものはありませんよね。
値段も高いものから安いものまで様々な種類のビールがありますが、2018年からビールを取り巻く環境は大きく変わろうとしています。
そこで今回は、施行された酒税法改正によって実生活にどんな変化が起きるのか徹底解説していきます。
意外と知らない発泡酒と第3のビールの違いなども解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
酒税法改正で何が変わるのか
結論として、酒税法改正することでビールを安く購入できるようになります。というのも、今までよりもビールにかかる“税金”が安くなるからです。
今までは下の表のように税金がかかっていたのですが、2018年から約8年間かけてこれら全ての税額を55円で統一する方針となりました。
2020年、2023年、2026年の3回に分けて段階的に変更していきます。
つまり、今まで高くて購入できなかったビールが安くなり、庶民の味方だった発泡酒と第3のビールが高くなるわけです。
最低限知っておきたいビールの話
ビールと一口に言っても実は種類がたくさんあります。
発泡酒付き飲み放題で我慢しよう
これらの違いを解説していきます。
ビール
ビールを作る時に“麦芽”という原材料を使用するのですが、その比率が全体の50%以上であればビールと呼ぶ第一段階はクリアです。
ちなみに麦芽が多いほどより濃厚でビール本来のコクを味わえます。キリンの「一番搾り」やサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」なんかは麦芽100%ですね。
また、ビールはメインの4つの材料でできています。
①水
②麦芽
③ホップ
④酵母
これに副材料として果物だったりとうもろこしだったりを入れて、独自の味を作り出すのですが、使って良い材料と量が決まっています。
法改正によってバナナやわさびや味噌を全体の5%分まで混ぜたものもビールと呼べるようになりました。
ビールの原料として認められた種類の副材料と量が収まっていれば晴れてビールと名乗ることができます。
発泡酒
ビール内の麦芽が50%を下回っていたり、酒税法でビールの原料として認められていない材料を含む場合は発泡酒と呼ばれます。
ビールと発泡酒の違いをわかりやすく図にすると下のようになります。
酒税に関しても、法改正する前は発泡酒の方が酒税が低かったので、いかに麦芽を使わないでビールっぽさを出すかが大事でした。
さらに賢いビール会社はこう考えました。
こうして第3のビールが生まれたわけです。
第3のビール
第3のビールには2種類あり、
①麦芽を一切使っていないもの
②発泡酒に別のアルコールを加えたもの
特に②はリキュールと呼ばれるアルコールです。
先ほどの表をもう一度見てみると、第3のビールは発泡酒と比べても酒税が約半分です。
こうして少しでも安いビールを作ろうとビール→発泡酒→第3のビールと形態を変えてきているわけです。
それらはビールのスタイルの話なので、別に記事を書きました。これを読めばビールに関しての最低限の知識がついて、脱初心者間違いなにので参考までに。
なぜ変える必要があるのか?
ビール、発泡酒、第3のビールの違いは分かったけど、なんで法律を変える必要があったの?
理由は2つあり、
①税収を増やすため
②小規模醸造を活性化するため
それではひとつずつ見ていきます。
税収を増やすため
まず大事なのが税収を増やすこと。というのも、年々ビールの生産量と消費量が低下傾向にあり、税収も平成20年から29年にかけて1000億円以上減っているからです。
リーマンショック以降、1本で安く早く酔える、そんなコストパフォーマンスの高い商品が求められるようになりました。
そういった背景があり、発泡酒と第3のビールの購買が進んでいったわけです。
だからこそ、ビール・発泡酒・第3のビールの酒税を一本化して、増収を見込んでいます。
小規模醸造を活性化するため
2つ目の理由として、最近活発になってきた地ビール製造を後押しするためです。
酒税法が改正されたことで、ビールとして販売できる範囲が拡大し、バラエティに富んだ商品開発が可能になりました。
副材料に果物、ハーブ、蜂蜜などが加わったので、ビール特有の苦味を敬遠してた人や女性向けにアピールできることもできるようになります。
そうやって地元に根付いたクラフトビール製造が盛んになれば、全体としてビール市場も盛り上がるのではないかと考えられています。
酒税法改正で日常生活はどう変わるのか?
大きなメリットは以下の2つ。
①ビールを安く購入できる
②多様な味わいのビールを選択することができる
それではひとつずつ見ていきます。
ビールを安く購入できる
先ほども説明しましたが、酒税が変わるので今まで高かったビールが安くなり、発泡酒と第3のビールが高くなります。
やはり麦芽使用率が高い分、本来の味を楽しめるのは発泡酒でも第3のビールでもありません。
本物のビールを今までより安く購入できるのは大きなメリットだと思います。
多様な味わいのビールを選択することができる
小規模醸造が進むので、特徴的なご当地ビールを飲めるようになります。
また、今回の法改正によって海外のビール輸入が進むと考えられているので、今までよりも多様なビールを選ぶことができます。
そうやって多様化が進めば、ビール市場もますます盛り上がっていき、また新たなビールが作られる、そんな好循環が期待できますね。
ビール業界の今後
酒税法改定によってビール業界はこれからどう変わっていくのでしょうか?
あくまで予想ですが、ビールはビール本来の味を、発泡酒と第3のビールは機能性で勝負する流れになるでしょう。というのも、酒税が一本化されて金額で差別化できなくなるからです。
最近は糖質オフやプリン体ゼロといったビールにない特徴を持つ発泡酒や第3のビールが登場し、健康志向のビールユーザーのニーズを捉えてきています。
今後も、様々な機能を持つユニークなビールが作られていくことでしょう。動向が楽しみですね。
まとめ
いかがでしたか?酒税法改定によって、ビールの定義や酒税が変わることが決まりました。法律を改定した理由としては2つあり、
①税収を増やすため
②小規模醸造を活性化するため
また、そうやって酒税が一本化されるため、今後はバラエティに富んだビール製造が盛んになると考えられます。
ちなみに、ヨーロッパは酒税が日本の半分以下の国が多く、麦芽100%がベースです。その分美味しいビールが低価格で楽しめます。
ヨーロッパ一周をして美味しいお店だけをまとめたので、こちらの記事も参考にしてみてください。